FOMC利下げ見送りは微妙
10月5日に発表された米国の雇用統計は金融市場にポジティブサプライズを与えました。悲観的だったNYダウや世界の株価が上昇し、米ドルが買われました。これで、サブプライムローン問題に端を発した米国の住宅問題や金融不安、貸し渋り問題は解消するのでしょうか。
10月の雇用統計は、前回9月発表の雇用統計をかなり修正しています。下記グラフのように7月は2.5万人、8月は9.3万人も増加修正しています。米労働環境が堅調なことを示していますが、今後については予断を許しません。
米、雇用者数(非農業部門) (出典:米労働省/Nikkei online)
雇用統計の好調を受けて10月30-31日に開かれるFOMCで利下げが見送られるかどうかは予断を許しません。
確かに雇用者数の増加は米国実体経済の堅調さを示していますが、サブプライムローン問題が完全に解消されたわけではありません。米国の現在の金融市場環境を概観すると、次のようになるでしょう
米FOMCの政策金利決定要因
- 利下げ材料
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・サブプライムローン問題が長期化
・貸し渋り問題
- 利上げ材料
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・雇用者数の増加
・インフレ懸念
先のFRBバーナンキ議長の発言でもサブプライムローン問題が「信用コストと経済全般に与える最終的な影響は不透明だ」と慎重な姿勢を崩していません。また、「金融市場の状況は8月中旬の最悪期から改善したが、完全回復には時間がかかるだろう。今後、混乱がぶり返す可能性もある」とも述べています。
今後発表される大手金融機関の7〜9月期決算を注視するとともに、経済指標の動きにも注意する必要があります。
米FRBは金融市場の信用不安や信用収縮が解消せず、インフレ懸念が顕在化しない限り、利下げに動くのではないでしょうか。
参照
米国のサブプライム問題を検証します
サブプライムローン問題の現状と今後を検証