日銀7月利上げの可能性も〜円安に変化も〜
6月15日に日銀定例会見が行われました。この会見で福井日銀総裁は、7月利上げに否定的な発言をしたとして、円安が進みました。はたして、本当に日銀は7月利上げを行わないのでしょうか、武藤日銀副総裁の発言をふまえて検討します。
6月20日に日銀副総裁の武藤氏が金融経済懇談会に出席し重要な発言をしています。発言の趣旨は次の通りです。
武藤副総裁の発言趣旨
- 7月利上げに関しては自然体
- 福井総裁の発言は、7月は中間評価の時期なのでその時期と利上げのタイミングを合わせることは全く考えていないと言う意味です。7月に利上げをするかどうかという話ではありません。
- 利上げペースに周期はない
- 昨年10月の日銀展望レポートと今年6月の展望レポートでニュアンスを変更しているのは、利上げペースに決まった周期性はないと言うことです。
武藤副総裁の発言でもわかりますが、6月15日の福井総裁の発言は、記者から7月の利上げがあるとの質問だったので、あのように否定的な答弁になったのだと考えられます。
また、利上げペースについては、一定間隔を置いて利上げを行っているように見られていることに対して、警告を発したものだと思います。これは、6月の展望レポートの内容にも現れています。
リスク要因を検討しながら、 経済物価情勢の改善の度合いに応じたペースで、徐々に金利水準の調整を行うことになると考えられる。
結局、今後日銀による利上げが実施されるかどうかは次の指標に大きく左右されると思われます。
- 賃金上昇の確認
- 海外主要国の金利政策
FX投資家には一番の関心事、為替相場動向は、現在各国通貨の金利差相場となっています。特に円にとっては、日銀による政策金利は大きな影響を与えます。
今後もっともあり得る日銀の利上げスケジュールは、7月に利上げを提案し、実際の利上げは8月に行われるのではないでしょうか。7月は参議院総選挙が控えているので、日銀も利上げに踏み切りにくい環境です。
さらに、その後は利上げペースを速める方向にあるでしょう。
参照
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