ここ数ヶ月の円安ドル高は、米国景気後退懸念が薄らいだことに原因があります。米国債10年物金利が上昇しているのも、FRBによる利下げが遠のいたことの表れでしょう。

FX相場:円ドル、ユーロドルの推移見通し

円ドル、ユーロドル相場
(参照:ブルームバークより)

2007年を振り返ると、円ドル相場は2月末の世界同時株安で115円/米ドルの円高をつけて以来、120円/ドル〜122円/ドル台の円安水準に戻っています。
一方、ユーロドル相場は年初の1.30ドル/ユーロから4月末に1.36ドル/ユーロに上昇した後、徐々にドル高に振れています。

米ドルがここ数ヶ月対円に対しても、対ユーロに対しても上昇している要因としては、2006年から2007年始めにかけて言われていたアメリカの景気後退懸念が薄れてきたからではないでしょうか。
景気減速懸念から、米10年物国債利回りなどは一時4.5%まで低下していましたが、最近は4.9%程度まで上昇しています。FRBによる利下げ見通しが薄れ、当分現状の金利を保つと市場が見ている表れでしょう。

米ドル今後のリスク要因

インフレ懸念
インフレ懸念が対当することで長期金利が上昇し
NYダウなどに悪影響を与える
株の暴落
インフレが台頭することで、NYダウが下落。
これが日本株など世界の株式市場に影響を与える

現在の米国の株高は、アメリカ景気が後退しながらも底堅く推移することを前提に成り立っています。ところが、上にあげたようにインフレ懸念が台頭し、長期金利が上昇するとこの前提が崩れ、NYダウなど株価が急落する可能性があります。

NYダウの急変は日本株など世界の株式市場に大きな影響を与えます。さらに日本株に投資している海外の投資家が日本株売り、ヘッジ円の買い戻しを行うことになれば、円高になる可能性もあります。
今後の為替相場の推移は米国の景気動向に影響される可能性が高まります。引き続き、経済指標の発表や要人発言に注意する必要があります。

参照

通貨政策も金融マーケットへ影響を与える
米国始め通貨当局の通貨政策が金融マーケットに大きく影響します。