米国2007年後半の景気と利下げ観測
ここ数週間発表されている、米国の経済指標を見ていると今年後半の景気後退が避けられないようにも見えます。これらの指標を詳しく吟味してみましょう。
2007年第一四半期の実質GDPは前期比1.3%増に留まり、4年ぶりの低水準でした。さらに新規雇用者の増加も低水準になりました。
ただ、悪い指標ばかりでなく中には経済活動が順調に見える統計もありました。
4月のISM(サプライマネジメント協会)製造業指数と非製造業指数はどちらも上向いています。
景気判断に好影響した指標
- 4月のISM製造業指数と非製造業指数
- どちらも持ち直し製造業新規受注が上向いている
景気判断の悪材料となった指標
- 第1四半期 実質GDP
- 前期比1.3%増と4年ぶりの低水準
- 雇用統計
- 雇用者の増加は低水準だった
- 住宅関連指数
- 住宅着工許可件数が大幅減
米国経済で一番の懸念はやはり住宅部門です。直近の住宅着工許可件数が大幅に低下したことや中古住宅販売件数が前月比−8.4%となったことが懸念材料といわれています。しかし一番気になるのは、新築住宅販売件数が1月に大きく落ち込み、その後2月、3月と減少ペースなことです。おそらく今が住宅販売の底でしょうからこれから徐々に回復基調になると思います。しかし、住宅販売が米国経済の足かせであることは確かです。
インフレ指標にはほとんど変化はありませんでした。しかし、FRBがもっとも気にしているスタグフレーションの危険性は依然として残っています。いまだにインフレ率は高い値を保っているからです。
今後経済が回復傾向を示すと雇用が逼迫して賃金上昇を招き、再びインフレ率が上昇する可能性もあります。
結局、FRBの2007年後半の金融政策としては、簡単に利下げできない膠着状態が続くのではないでしょうか。少なくともインフレリスクが大幅に低下しないと利下げは行いにくい環境です。
参照
ファンダメンタルズ
ファンダメンタルズとは「経済の基礎的条件」と訳されます