11月24日に起こった米ドルの急落は単に投機筋の動きだけとは限らないようです。このところの米国経済の変調を先取りした動きだったかもしれません。

米国経済減速懸念、為替相場への影響は

米国経済の減速兆候

このところ、米国経済の減速をあらわす経済指標の発表が増えています。

10月耐久財受注
事前予想を大きく下回る
前月比▲8.3%の減少
10月非国防資本財受注
前月比▲5.1%
ISM製造業景況指数
49.5%

特に気になるのが「ISM製造業景況指数」が50%を下回ったこと、通常このISM製造業景況指数が50%を下回ると、FRBが金利を引き下げる切っ掛けとなります。
米国の消費関連指数もあまり芳しくありません、11月消費者信頼感指数が小幅悪化、個人消費や住宅販売もあまり改善は見られませんでした。バーナンキFRB議長はさかんに利上げを口にしていますが、本心は利下げを考えているに違いありません。

円/ドル為替の動き

11月24日の、連休を挟んだ米ドルの急落はこの米国経済の変調を先取りしていたかのようです。ただ、この米ドル安はユーロやポンドなどの通貨には数年来の大幅な変動だったのですが、円/ドル為替については比較的小幅な円高にとどまっていることは注意すべきです。
日本経済はいざなぎ景気を超える長期の経済成長を続けていますが、年末から来年にかけて減速傾向も見られます。設備投資は増えていますが、在庫が増えて個人消費まで回っていないことが明白です。
さらに気になるのが、資金需給面です。11月の対日証券投資が3兆円の流入超過だったのです。これまで日本の金利安を利用した円キャリートレードが活発でこれが円安を招いていると言われています。これまで、この円キャリートレードで大量に流出した円資金がいつ国内に還流するかわかりません。もし、本格的な巻き戻しが起こればさらに大幅な円高になる可能性が高いです。
いつかはわかりませんが、いつかは起こることを念頭に置いてたほうが良いでしょう。

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