ブラックマンデーの再来が懸念される最近の金融市場を考察します。1987年当時の経済状況と現在を比較しその可能性を検討しています。

ブラックマンデーの再来か?

各国通貨

このところ世界的な株安で金融市場は大荒れです。
19年前に起こったブラックマンデーが再来するのではないかと、不安が不安を呼ぶいわゆるオーバーシュートが起こっていますね。さて、ブラックマンデーは再現するのでしょうか、為替市場にも大いに影響しますので、ここで考察したいと思います。

ブラックマンデー当時との比較
類似点 相違点
双子の赤字とドル不安 米国株の熱狂度
インフレ懸念 ダウ平均の上昇度
FRB議長の交代 2006年の株価は
日本や新興国株が高い伸び

上の表に示しますようにブラックマンデー当時と現在は類似点は多いです。米国の経常赤字はGDP比で7%を超えており、ブラックマンデー当時よりもさらに悪化しています。さらに、最近の原油高と雇用状況の改善がインフレリスクを上昇させてきました。
さらに気になるのは、グリーンスパン氏からバーナンキ氏にFRB議長が交代したことです。最近の米国ダウの不安定な動きは、市場担当者がバーナンキFRB議長に信頼がおけず資金を移動させているためとも言われています。実は、グリーンスパン前FRB議長が就任2ヶ月後(1987年10月)にブラックマンデーを迎えた本人なのです。
ここまで見てくると、ブラックマンデーの再来を有力視しているように思われますが、私はそれには懐疑的です。ブラックマンデー当時、ニューヨークダウは一日で20%の大暴落を演じたのです、そのためにはダウが相当熱狂(株高)になっていないと成り得ません。現在のダウは当時のような熱狂はありませんし、下落傾向でもあります。
米国株は今後堅調に転換するのでしょうか。これも、そう簡単にはいかない気がします。上にも述べましたように、米国の双子の赤字やドルを取り巻く環境はブラックマンデー当時よりもさらに悪化しているのです。有名な投資家ウォーレン・バフェット氏は早々とドル資産を日本など海外資産に分散させているそうです。
前回の記事(有事の米ドル買いは有効か?)にも書きましたが、基軸通貨としての「米ドル」の位置は変わらないかもしれませんが、米ドルへの信任は徐々に下がってきているように感じます。